♬ たとえば私が恋を恋をするなら
四つのお願い聞いて 聞いてほしいの
ひとつわがまま許して・・・・♪
(『四つのお願い』ちあきなおみ 作詞:白鳥朝詠 作曲:鈴木淳)
大学地下食堂に向かって、ハチヤ君と坂道を下っていた。
ハ「♪たとえばぁ わたしが フフンフン・・・みいっつのぉおねがぃ・・」
私「はは・・・それよっつだろ。三つじゃひとつたりないだろ?」
ハ「ははは・・・いえね、さっきの講義で日本の三つの名物ってことが、話題になったんですよ」
私「それで、四つじゃなくて、三つかい?」
ハ「ええ・・林 鵞峰(はやし がほう)が、江戸時代に
日本三景のことを書いたっていう話しになったんですよね。
松島・天橋立・厳島の三つの場所を奇景として誉めたたえたんですよ」
私「はやしがほう・・・?」
ハ「知りませんか。江戸初期の儒学者で、林羅山の息子なんですよ。
幕府御用儒者でね、羅山と一緒に、
歴史書の『本朝通鑑』を編纂したっていわれてるんです」
私「へぇぇ~~~二代目さんかぁ」
ハ「それでね。ウチの師匠によると、
三つっていうのは、
ひとびとの心をとらえるのに、ちょうどいい数だって言うんですよね」
私「なんで?」
ハ「一つだと数が少なすぎるでしょ。
四だとか五またはそれ以上あるとありがたみがないんですよ」
私「なるほど・・・で二はだめなの?」
ハ「師匠がいうのにはですね。
二は対立関係をあらわして、喧嘩や競争がたえないんですよね」
私「ウン・・・・」
ハ「三って鼎立ってことで、安定の象徴なんですよね。
だから日本人って三名山とか三銘水とか
ひとびとが愛でるものって三がおおいんですって。
♪ たとえばわたしがすきぃな 好きな数ならぁ~
三つの数字がいいなぁ~ なんてね」
私「・・・・・」
松島や ああ松島や 松島や(相模の田原坊)