
三伏(さんぷく)門を閉ざして一納を披(き)る
兼ねて松竹の房廊を蔭(おお)う無し
安禅は必ずしも山水を須(もち)いず
心頭を滅却すれば火も自ら涼し
(杜荀鶴『夏日 悟空上人の院に題す』)
夕暮れの太陽の光が大きな窓から射しこむビヤホール・・・
ちょっと疲れ気味の国文学者F先生 心理学者G先生 独文学者B先生と・・
英文学者K先生がテーブルを囲んで 軽めの食事を・・・
F「さて・・お疲れさま・・・今日の慰労会ということで・・
朝からの特別しごとのうちあげをしましょう・・・かんぱい!」
全員「かんぱい!!!!!!!」
B「ううう・・・・・うまい・・・ぷぅぅ・・・・・
あつかったですものねぇ・・・きょうは・・・」
G「ははは・・・しんとうめっきゃくすれば・・ひもおのずからすずし・・・
ってな・・
あんたも・・夢中にしごとしたんだね・・
文句ひとついわず しごとしてたもんな・・・」
K「はははは・・・そのフレーズって有名ですよねぇ・・・
全文をしらないんですが・・・
どうなんですか?F先生・・・?」
F「え・・・あれはね・・・
さんぷく もんをとざして・・・火もおのずからすずし・・・っていう
唐の杜荀鶴(と・じゅんかく)の
有名な詩の結句ですよ・・・
三伏って 夏至以降の一定の時期の事をいいましてね・・・
今の時期くらいのいちばん 暑いときをいうんですね・・
禅のこころをあらわした・・・
火もまた涼しってこころの持ちようを・・いうんでしょうねぇ・・・」
B「To-morrow, and to-morrow, and to-morrow,
Creeps in this petty pace from day to day,
To Blast syllable of recorded time・・・
明日、明日 また 明日と、小刻みな忍び足で1日1日がすぎてゆく
とうとう定められた最後のときにたどりつく・・・
ってね・・・」
K「うん・・・?それシェイクスピアのマクベスのモノローグでしょ・・・」
G「ぷっ・・・はははは・・・
B・あんたのさいごに 行き着くのはやっぱり酒場
ってことかねぇ・・・」
F「ははは・・・ でもね ほんとに
『暑くともなほ暑くとも原爆忌 』(山田みづえ)
ですねぇ・・・
きょうは・・・祈りもこめて・・ねぇ・・・
あ・・Kくんはジュースの方がいいんでしょ・・
なにか頼みなさいよ・・・」
B「わが鶏の胸肉1ポンドをあたえん!血は一滴もながさぬぞ・・・
はい・・・Kさん・・食べて・・この唐揚げ・・」
G「また・・・くだらないことをいってやがる・・
シャイロックは切り取る側だろうが・・・」
B「ひどいなぁ・・・ぼくは悪徳商人ですか・・・もういっぱい飲も・・・」
K「はは・・・安寧は必ずしも肉にはあらず・・・ですね・・」
B「心から望むれば酒おのずからうれし・・・ってね・・・」
F「ぷっ・・・はははははは・・・いいですねぇ・・・はははははは・・・・」
猛暑にもこころに風が吹きわたり(のりも よしあき)





