♬ 髪のみだれに手をやれば 赤いけだしが風に舞う
憎や恋しや 塩屋の岬 投げて届かぬ 想いの糸が・・・・♪
ある大学の講師控室に、国文学者のF先生が食事をおえて帰って来られた。
F「♪ ふふンンふン ふふふンふン てをぉフフンフンフン~~~・・・」
私「先生。ごきげんですねぇ・・・ひばりですか?」
F「はは・・いえね。ちょっとそこで先輩のフランス文学のM先生と会って、
うどん屋へ行ってきましてね。
与謝野晶子のはなしになって、『みだれ髪』のことになって、
その関係でね、美空ひばりなったわけですよ」
なにか落語の三題ばなしみたいですね」
F「はは、三題ばなしはよかったですね。
まぁ、『ひばり』って私と同じ年代でね。
どうしても、歌っていうと『ひばり』ってことになるんですよね」
私「歌ですか」
F「ええ。今日は与謝野晶子の忌日でね。
『くろ髪の千すじの髪のみだれ髪かつおもひみだれおもひみだるる』
っていう歌・・・知ってますか?」
私「・・・ぃぇ・・・・」
F「これ『みだれ髪』っていう歌集題名を決めることになった歌じゃないか
って言われてるんですよね。
晶子の鉄幹への思いをあらわした情熱的な歌だっていわれてますね」
私「なるほど・・・」
F「にっぽんって万葉の昔から女性の美しさや情念をあらわすのに、
黒髪っていうのは大事な要素で
それが歌のなかにずっと受け継がれてるなんていう話しをM先生としてたんですよ」
私「はぁぁぁ・・・フランスなら金髪ですもんね・・・」
F「・・・・・・」
乱れ髪糸繰車その果ての(八木三日女)