♬ 俺がいたんじゃお嫁にゃいけぬ
わかっちゃいるんだ妹よ・・・・
ドブに落ちても根のある奴は
いつかは蓮(はちす)の花と咲く・・・♪
ある大学の講師控室で国文学者F先生と話していた。
F「そろそろ、雨があがるといいのにねぇ・・・」
私「え?なにかあるんですか?」
F「ちかくのお寺の境内で、はちすの花が見ごろでね。
明日ゆこうと思うんだけど雨じゃぁねぇ・・・」
私「はちす・・・???」
F「あ・・知らないか。そうですよね・・・
ハスのことを仏教用語で『はちす』っていうんですよ。
ほら寅さん映画で
♪ どぶに落ちても根のあるやつは いつかははちすの花とぉさく~
って歌ってるでしょ?あれですよ」
私「ああ・・・お釈迦様が乗ってたってやつ・・・」
F「はは・・・それは葉の方で、
花はピンクや白の大きなものでこの時期には豪華できれいに咲くんですよ」
私「へぇぇ~~・・・だけどなんで『はちす』なんですか?」
F「う~ん・・・ま、ハスの語源だといわれてるんですがね。
花の形状からの和名でね、
花托が蜂の巣のような形をしていることから『はちす』って言われてて、
字も荷(はちす)とか蜂巣とかいうふうに書いたんですよ」
私「へぇ~字もちがうんですねぇ・・・」
F「万葉歌にも
『ひさかたの、雨も降らぬか、蓮葉(はちすば)に、
溜(た)まれる水の、玉に似たる見む』(作者不詳)
(雨がふらないかなぁ・・・
ハスの葉に溜まって玉のようになった雨をみたいものだが)
なんていうのがありますよ」
私「あれ。やっぱり、葉っぱを見るには雨が降った方がいいんですね。
花を見る先生は雨じゃない方ですか?・・・」
F「・・・・・・」
ふいと来て見るもうれしや蓮の花(子規)