昭和63年頃、大学の地下食堂で仲間たちとの話し。
ハ「のりもさん、今年の大河ドラマ見てます?」
私「え?武田信玄だろ?うん・・・たまに見るよ」
ハ「あれ面白いですよね。それでね、今日が信玄の亡くなった日なんですよ」
私「へぇぇ~~~そうなの」
ハ「きのう、歴史書を読んでたら、信玄の時世句があるのを見つけたんですよ」
私「うん。それで?」
ハ「時世句ってほんとにその人間の性格が出るんですね。
信玄は
『大(たい)ていは地(ぢ)に任(まか)せて肌骨(きこつ)好(よ)し
紅粉(べに)を涂(ぬ)らず自(みずか)ら風流』
って詠んでるんですよ」
私「え・・・・?」
ハ「戦国武将って二種類あるでしょ。
今川義元って薄化粧をしたって有名じゃないですか。
その対照にあるのが信玄じゃないのかなぁって。
この歌、そのまま訳すとしたらですねぇ。
ふつうに本来の肌のまま生きればよいのであって、
顔にお化粧などしないでも本来、美しさのあるものであろう
というぐらいなんですね」
私「うん・・・・」
ハ「別にお化粧を非難したんじゃなくて、
俺は無骨に本音で生きて死んでゆく
っていう心意気なんじゃないんですかねぇ・・・」
私「・・・・(なるほど、そうなのかねぇ)・・・・」
春一夢かのもの言はぬ人と会ふ (畑耕一)