昭和54年ごろのこと。東洋法制史専攻のハチヤ君と大学の地下食堂で。
私「うん・・・せっかく桜が咲いているのに、雨がふってるよ」
ハ「まぁ・・・春雨ですからねぇ・・・
そんなに強く降ってないし、これくらいならいいじゃないですか」
私「でもなぁ・・・寒いしなぁ・・・」
ハ「あ、そうだ。のりもさん甘雨って知ってます?」
私「かんう?なにそれ。寒天で作った食べものかなんか?」
ハ「ちがいますよぉ・・・甘い雨って書いて甘雨ですよ」
私「飴はあまいに決まってるだろ?」
ハ「もおおぉぉ~~~」
私「ははは・・・で?」
ハ「甘雨っていうのは、甘露な雨っていうのを、略したんだろぅって言われてて、
草木をうるおして生育させる滋味多い雨だってされてるんですよ。
有名な中国古典の詩経にも
『以御田祖(じぎょでんそ) 以祈甘雨(じぎかんう)
以介我稷黍(じかいがしょくしょ) 以穀我士女(じこくがしにょ)』
(田の神の来訪を、恵みの雨を請い、五穀の豊穣を、一族の幸福を祈る)
って書かれてるんですよね」
私「うん、なるほど」
ハ「今日の雨ってこれにぴったりだと思いません?」
私「そうだよなぁ・・・甘い物ってひとを幸せにするもんなぁ・・・」
ハ「・・・・(そこ?)・・・・・」
ほの甘きかほりとともに桜餅(のりも よしあき)