♬ くもり硝子のむこうは風の街
問わず語りの心がせつないね
枯れ葉ひとつの重さもない命・・・・
そうね誕生石ならルビーなの そんな言葉が頭にうずまくよ・・・・
あなたを失ってから・・・♪
昭和57年ごろ、大学のコピー室にゆくと、ハチヤ君が作業をしながらルビーの指輪を口ずさんでいた。
私「おはよう。ハチヤ君なにかいいことでもあったのかい?」
ハ「あ、おはようございます。いいえ、別に何もないですよ?」
私「今はやりの『ルビーの指輪』なんか歌ってるから、何かあるのかと思ったよ?」
ハ「いえね。きのう高校時代の友達と話してたら、そいつは、宝石店に勤めてるんですけど。いまルビーが大はやりで、よく売れるんだっていってましてね。そんなこんなで、ルビーの指輪が口からでたんですよ。この歌、なにかしら調子もいいでしょ」
私「あぁ、そういうことかぁ」
ハ「おもしろかったんですよね。
ルビーって『宝石の女王』っていわれてるんですって」
私「どうして?」
ハ「彼がいうのにはね、ルビーってダイヤモンドの次に硬くって、真っ赤でしょ。
その強さと気品から来るんだろぅっていってましたよ。
それに、その光沢はみごとなもので、
透明感のある最高級のルビーを『ピジョン・ブラッド』っていうんですって」
私「ピジョン・ブラッド?どういう意味?」
ハ「ハトの血っていう意味らしいですよ。
ハトの血って真っ赤でとてもきれいなんだそうです。
これは東南アジアのビルマでだけ採れる最高品なんですって」
私「なるほど・・・」
ハ「だから、ルビーの赤って人のこころを魅了する燃えるような色彩ってことで、
かのシェイクスピアも『ルビーは妖精の贈り物』
って言って誉めたそうですよ」
私「照れるじゃないか『よせぃ』よ・・・なんてね」
ハ「・・・・・・・・」
この人に冬日の如く親しみし(高野素十)