♬ ああ みずいろの雨 わたしの肩を抱いてつつんで降りつづくの
ああ くずれてしまえ あとかたもなく流されてゆく愛のかたち・・・・♪
昭和54年頃、ハチヤ君と雨あがりの大学坂道を下っていた。いつものように小さいこえで歌っている。
ハ「♪ ぁぁ~~みずいろのの あめぇ~~~~・・・・」
私「はは、5月なのに、水色の雨はないだろ。せめて、♪緑色のあめぇ~ だろ?」
ハ「ははは。それで思い出しましたけど、
これくらいの時期をあらわす『青時雨』っていう、俳句の夏季語、知ってます?」
私「え?知らないけど・・・しぐれって、つゆ雨時じゃないの?」
ハ「『坂いくつ曲りてあふぐ青しぐれ (小峰松江)』
っていう俳句があるんですよね」
私「うん・・・・」
ハ「青時雨って、雨そのものじゃなくって、
木々の青葉からしたたり落ちる水滴をしぐれにたとえて、使われるんですよ。
青々とした新緑にたまった水滴が,、きらきらと光りにかがやく初夏5月
ってことですよね」
私「なるほど・・・」
坂道の真ん中の右に折れる階段を下って地下食堂へむかっていたとき、
ぴゅーっと強い風が。
階段の上を覆う桜の葉から、ばらばらばらっと大粒の雨が降って来た。
ハ「うわぁぁぁぁ~~~!!!つめたぁいぃぃ!!!!!」との声。
大量で大粒の葉っぱに残った雨が、ハチヤ君だけに降り注いだようである。
私「おぉ・・・ハチヤ君、あんただけ 青時雨に歓待されてんだよ」
ハ「もぉぉぉ~~~~」