ある大学の講師控室に居ると、国文学者のF先生が講義から戻って来られた。
F「あついあつい・・・もうたまりませんねぇ・・・」とネクタイを外された。
私「ご苦労様です。もうそろそろ梅雨明けでしょうね」
F「ふぅぅ~ここのクーラーはよく効いていいですね。まぁ、今日は暦の上では小暑だからあなたの言うようにそろそろ梅雨明けですかねぇ」
私「しょうしょ・・・ですか?」
F「知らない?小さい暑さと書いて小暑。二十四節気のひとつですよ」
私「・・ぇぇ・・・」
F「夏至は知ってるでしょ。あの夏至から大暑の間の節季でね。ここから暑さが本格化して体力をつけるために食事に気をつけなさいって昔から言われるんですよ」
私「なるほど・・・」
F「そうそう、時候のあいさつとしての暑中見舞いもここから書き始めるんですね。
のりも君はもう書き始めてますか?」
私「え・・いえぇ・・・あれはもうちょっと後の方がいいんじゃないんですか・・・
お盆あたりに相手に届けばいいかと思ってるんですが・・・」
F「まぁ、あながち間違ってはいませんがね。
暑中見舞いっていうのは、小暑から立秋までに出さないといけませんよ。
まさに秋に暑中はないですからね」
私「ああ・・・そうなんですかぁ・・・
とすると・・・今年の立秋はカレンダーによると・・・。
え!!8月6日だから・・・はがきは3日くらいかかるとして・・・
8月3日には送らないといけない・・・
わぁ・・・どうしましょ、先生!」
F「・・・(まだ・・じゅうぶん・・間に合うでしょぅが)・・・・」
一本の細書キを購ふ小暑かな (勝又一透)