norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

さんま

 教養英語あとの時間。同級生同士が秋の味覚について話している。

 

A「秋はさんまに止めをさすなぁ」

B「いやぁ、まったけだろう」(大阪ではまつたけを、まったけと呼んだ)

A「あれは、かおりだけじゃないか。酒飲みにはごちそうだろうけど」

B「いいや、まったけごはん、または、焼きまったけなら量もあるし十分食べ応えがあるぜ」

 

A「ちがう、ちがう、まったけごはんは、ごはんでおなかがいっぱいになるだけで、まったけでおなか一杯になるわけじゃないぜ。焼きまったけで腹いっぱいにしようと思ったらどれほどお金がかかるか」

C「そうだよな。さんまなら、1尾50円くらいで買えるもんな」

B「そうそう、まったけなんて、2000円出しても、ちょっとしか量がないもんな。あんなのぜいたく品だよ」

 

A「われわれが、小さいころは、親がよくまったけご飯なんか炊いてくれたがなぁ。この2・3年はまったけなんて、口に入れたこともないや」

 

B「ところでさ、お前たち、さんまの塩焼きは、はらわたまで食べる?」

A「食べるよ。あそこがおいしいんじゃないか。お前、食べないのか?」

B「うん、にがいし、なにか悪いものでもはいってるみたいでいやなんだよ」

 

A「あのさ、新聞で読んだんだけど、さんまが餌を食べた後、その消化はものすごく早くて、さんまの腸内には食べたえさの残りはほとんどないんだってさ。それに、さんまは新鮮であれば、内臓は、かえって、栄養豊富でビタミンの宝庫だって」

B「それでも、いやだなぁ。ほんとに悪いものが入っていないとは限らないだろぅ」

 

A「だめだ、こりゃ。お前は、さんまの開きでもを食べときな。あのあぶらの乗った新鮮な塩焼きさんまを味わえないとは、もったいない」

C「そうだよ。早くおとなになれよ」

 

子供は甘いものを好み、大人は苦いものを味わう、という。

ちょうどその境目にいるのが、大学1・2年生であろうか。

 

      菊匂ひ或いは秋刀魚輝けり(相生垣瓜人)