昭和58年6月に同期のNと話していた。
私「ところでさ、今月の3日に、阪急の福本が盗塁の世界記録を打ち立てたなぁ」
N「ああ、なんだっけ、たしか939個目だとか新聞に書いてあったなぁ」
Nは金曜日の午後から、仲間をさそってテニスをするということを習慣にしていた。テニスコートを月極で大学近くの場所で仲間と借りて楽しんでいる。
今日はそのテニスの日で、大学院のホールで他の仲間と待ち合わせをしているのである。
わたしは、通りかかりに、話し相手になっていた。
私「福本は昭和44年入団だから、15年目だろ。15年で939個っていうことは、1年だいたい・・・60個の盗塁で・・・」
N「お前ね。なんでそんな単純で、いい加減な計算方法をとるの」と、ニヤッと笑う。
私「え、どうして?」
N「あのな、福本の盗塁数をy軸、年度をx軸でグラフ表記したら、お前のは、y軸60のところをx軸と並行にずっとまっすぐな線であらわすことになるだろ?」
私「うん・・・・」
N「ちがうだろ。現実はこのグラフは『山なりの放物線』になるはずだろ。
つまり、どちらかというと、y=ax²なわけで、aはマイナスの数値が・・・」
私「・・・・・・」
舌鋒鋭い、批評家Nである。
こんなことまで、ひとと違うことを言わないと気が済まないんだから・・・心のこえ)
紫陽花の毬の豪華や数ふべし(田村木国)