われわれが、2年生のとき、顧問主事の教授が還暦を迎えられた。
われわれ2年生はサークルの執行部役員(といっても、いわば雑用係りであるが)となったため、先生のお宅を訪ねてサークルからささやかな記念品をお渡しすることになった。
さあ、何を贈るかということに・・・・
A「どうするの?何を贈る?」
B「うん・・・。ところで還暦って何?」
A「数え歳で60歳になったときのお祝いのことさ」
B「へぇぇ。だけどさ、なんで数え歳? なんで60歳?」
A「おまえさぁ。十干十二支って聞いたことあるだろ」
B「ああ、おばあちゃんが、正月になると暦をみてよく言ってるよ。ことしの干支はウシだとか」
A「それだよ。東洋の暦では、12年1回周期で人生を区切るらしいよ。それで、五まわりすると、一からにもどるんだってさ。それが60歳のくぎりになるというのさ。だから、60歳からもう一度人生がはじまるので、めでたいとしてお祝いをするというわけだろ」
B「ふうぅぅん。なるほど。じゃ、数え歳は?」
A「東洋の暦なんだから、むかしからの歳の数え方をするのは当然だろ?」
B「そうかぁ、前期試験の採点も、東洋の暦のように計算してくれたらいいのになぁ」
A「なんだよそれ」
B「だって、東洋風の年齢計算は生まれたばかりの赤ちゃんでも1歳にすぐなるじゃないか。おれもテストの試験を受けただけで点数もらえる」
A「ばか、1点じゃ赤点に変わりないだろう」
贈り物のはなしは、どこへいったんでしょうか?
還暦の近しや月夜葉が落つる(大野林火)