昭和53年2月の昼。しゃれ者のOと大学の地下食堂で昼ごはんを食べていた。
私「なぁ、お前さぁ京都の大学に行ってた頃、『鮒ずし』なんて食べたことある?」
O「え?どうして?」
私「いやさぁ。きのうテレビで明日は2月7日のフナの日ですっていって、滋賀の『鮒ずし』の紹介があったんだよ。それで、京都なんかでも良く食べるって言っててな。お前に聞いてみようと思ってさ」
O「うぅぅぅンンンン・・・あれは独特でさぁ・・・琵琶湖付近の『にごろ鮒』って種類のフナを米と糀でつけて発酵させた保存食なんだよなぁ・・・」
私「で?どうなんだよ?」
O「食べ物といっても・・・『高価な珍味』っていう方がいいんだよなぁ・・・どちらかというと・・・・匂いのつよいチーズに似てるとおもうなぁ・・・」
私「それで?おいしかったか?」
O「うンンンン・・・・好みだろぅなぁ・・・おいしいっていう人もいるだろうし・・・そうじゃないっていう人もなぁ・・・」
私「そうなのかぁ・・・で、お前はどうなんだよ?」
O「おいしいっていうひともいるし・・・そうじゃないってひともいるし・・・・」
私「だから、お前はどうなんだよ。食べたんだろ?」
O「おいしいっていうひとも・・・・・そうじゃないっていうひとも・・・・そのぉ・・・さしさわりもあって・・・『記憶にございません』・・・」
私「・・・(ロッキード事件かよ もぅ)・・・・・・」
水に放つや寒鮒みんな泳いでゐる(種田山頭火)