norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

桃の花

 昭和60年ごろ、ある大学の研究室で国文学者のF先生と久しぶりに出会った。

 

私「先生、おはようございます」

F「あぁ、のりも君。少しあったかくなってきましたね。元気ですか?」

 

私「はい、有難うございます。畑の方はいかがですか?」

F「まぁ・・ぼちぼちですね。それより、今日はひな祭りでしょ。わが家は女系家族だから、にぎやかな夕飯になるんで、楽しみにしてるんですよ」

 

私「あれ・・・白酒じゃぁ酔えないんじゃないんですか?」

 

F「はは・・・私だけは灘の生一本ですよ・・・当たり前じゃないですか。わが家のひな祭りのお客さんなんだから」

 

私「はは・・・お客さんですかぁ」

 

F「そうですよ。わが家で唯一の男で、いわば『お内裏様』なんだから」

 

私「奥様もたいへんだぁ・・・♪灯りをつけましょぼんぼりに お花をあげましょ桃の花~ ですね」

 

F「それは、童謡でしょ。私なら

    春の苑 紅にほふ桃の花 下照る道に 出立つおとめ(大伴家持

                         の情景を思い浮かべますねぇ」

 

私「あぁぁぁ・・・桃の花が一面に咲いてる情景ですねぇ・・・」

 

F「ね、豪華でしょ・・・」

 

         悦楽か怡楽か桃の花ざかり(森澄雄