昭和60年ごろ、ある大学の講師控室で国文学者F先生との話し。
F「のりもくん、明日は八十八夜ですね」
私「♪夏もち~かづく はちじゅうはちや とんとん ですね?」
F「はは、知ってますねぇ。でわ、この時期に咲く『つつじ』はなんでつつじって言うか知ってますか?」
私「え?花が筒状になってるからじゃないんですか?」
F「ええ、そういうことでしょうね。もうちょっと、詳しく言うと、筒状の花を意味することを『筒しべ』といったことからだっていわれてますねぇ。それとね、ツツジって漢字で「躑躅」って書くんですよね。書けますか?」
私「はは・・!!!!・・」
F「まぁ、これは当用漢字でもないし、めったに使わないから、書けなくても仕方ないんだけどね。これを『てきちょく』って読むんですよ。どちらの字も、佇(たたず)むとか、ゆっくり歩くっていう意味でね。まぁいえば、ひっそりとじっとしているっていう意味になるんですね」
私「なるほど・・・・」
F「だけど・・花があれほど華麗で豪華なのに、じっとたたずんでいるって、なにやら合うような、合わないようなっていう気がしてねぇ・・・」
私「・・・・・うぅぅンンンンンン・・・・・」
先づ躑躅見て空仰ぎ雲迅し (京極杞陽)