昭和53年の夜。Yの部屋でテレビニュースを見ていた。
たくさんの男たちが、はだかで、お守りのようなものを争って奪い合っていた。男たちの回りから水が掛けられて湯気が立っている。
Y「すごいなぁ・・・真冬だぜ・・・ましてこの祭りって東北の寒いところでやってんだろ?」
私「あぁ・・・岩手県の・・・黒石寺とか言ってたぜ・・・」
Y「へぇぇ・・・ちょっと調べてみよう・・・『はだか祭り』・・・・」
私「はだか祭りで出てくるのか?」
Y「あった あった。
『 はだか祭りは参加者の氏子が、生まれたときと同じ裸になって
神との交渉をする神聖な祭事 』。
それでと・・・
『 禊として厄を落として生まれ変わる神事と闘争を併せて行う 』。
その年の五穀豊穣・豊作祈願・大漁祈願のためなんだってさ」
私「うん・・・にっぽんらしいよなぁ・・・」
Y「全国各地でこうしたはだか祭りはあるらしいなぁ・・・だけどさ、お前はこうした神社の氏子じゃなくてよかったなぁ・・・」
私「なんでだよ?」
Y「おまえなんかが、祭りに加わったら、ぐちゃぐちゃになって
1分であの世行きだぜ」
私「うるせぇ・・ひとのことがいえるかよ」
Y「そんなこたぁないさ。おれなら5分はもつ!!」
・・・・(五十歩百歩だろぅ)・・・・
頭重き冬の日ことに神は近し (田川飛旅子)