昭和57年のこと。ハチヤ君とO中君と地下食堂で昼ごはんをとっている。
ハ「ねぇ、ねぇ、のりもさん、三国志見ました?」
私「三国志?何それ?」
O中「テレビの人形劇ドラマだよ。見てない?」
私「うん・・・」
ハ「今、すごい人気になってんですよぉ・・・ものすごくリアルな人形が活躍して、セリフは実際の俳優がしゃべってて、人形がそのあと、セリフにあわせて動いて、映像劇にしてるんですよ。いままでのような、子供向けの人形劇じゃないんです。むちゃくっちゃぁリアルにできていて、おもしろいんですから」
私「へぇ~」
O中「へえ~って、あんまり興味ないでしょ、その言い方」
私「うん・・・・三国志って例の魏呉蜀の戦争物で、なんじゃかんじゃ争いになるってやつだろ?」
ハ「だめだ、こりゃ。中国史は苦手なんでしょ、のりもさん?」
O中「ま、とりあえず、今日が放送日だからのりもさん、今晩、見てみたら?」
私「わかったよ」
ハ「よし、約束ですよ。これで三人の『桃園の誓い』になりましたね。三国志の最初みたいですね」
O中「そんな たいそうな・・・単なる『食堂の誓い』でしょ・・・」
私「・・・・(なに? それ?)・・・・」
現実の相を真冬の水かがみ(飯田蛇笏)