norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

念仏の口開け

 大学地下食堂でのハチヤ君との話しがつづいていた。

ハ「ところで、ノリモさん。小正月の次の日の16日は

    『念仏の口開け』の日だって

             いわれるのを知ってます?」

 

私「え?15日の休日からの『仕事の口開け』じゃないの?」

ハ「もぉぉ・・・・」

 

私「ははは・・・念仏ってあの

    『なむあみだぶつ』とか『なむみょうほうれんげきょう』

                      って唱えるあの念仏?」

 

ハ「まぁ、そうなんですけど。

    正月っていうのは、歳神さまを迎えてお祝いするでしょ。

   だから仏さまはその歳神様が居る間は遠慮するんですよ。

    べつに神さまと仏さまが喧嘩しているわけじゃないけど、

        神さまにしたら自分が居る間に念仏を唱えられると、

              やっぱり気分はよくないじゃないですかぁ。

    それで、その間は仏さまへの念仏は控えるんです。

    そのあと、歳神さまが『どんとの火』で送られて、

     居なくなった16日になって、念仏をとなえることになる日って言うんで、 

          『念仏の口開け』

                    って言われてるんですって」

 

私「うん・・・なんだかなぁ・・・それって民間習俗だろ?

      たとえば、お正月に奈良や京都なんかの大きなお寺だと、

    お坊さんが集まって、読経してるじゃないか?

   テレビなんかでやってるだろ。あれ、正月まっただなかの念仏だろ?

              なにか、おかしいような気がするなぁ・・・」

 

ハ「いえ、おかしくないですよ。あのね、歳神さまっていうのは・・・・」

 

しばらくして、

  わたしの大学同期である労働法専攻のNが食事をするのに、やってきた。

 

N「おい、ふたりで何を言い争ってんだよ?」

ハ「あ、Nさん。聞いてくださいよ。あのね、のりもさんっていったら・・・」

 

N「ふんふん・・・・あのな、ハチヤ君、のりもに言っても無理」

ハ「どうしてですか?」

 

N「のりもの耳に念仏!!!」

 

ハ「プーー・・・(笑い)」

 

   ・・・・うるせぇ・・・おれは馬じゃねえ・・・・

 

       細道になり行く声や寒念仏(蕪村)