ある大学の講師控室で、国文学者F先生と。
F「のりも君、ひのそうじょうっていう俳人を知ってますか?」
私「さぁ・・・わたしはあまり聞いたことがないんですが・・・」
F「そうですか?あなたは芭蕉とか子規とかいう超有名俳句しか、あまり興味がないんでしょうねぇ」
私「はは・・・それでその日野草城っていう俳人がどうかしたんですか?」
F「ええ、きょうが草城の忌日でね。ちょっと思いだしたんで、あなたに聞いてみたんですよ。彼の俳句はちょっと変わっていてねぇ」
私「おもしろそうですね。教えてください」
F「うん。簡単にいうと彼は東京生まれなんだけど、第三高等学校から京都帝大出なんですよね。その後、大阪に住んでるんですが、俳句の特徴が、『エロス』と『無季語』なんですよ」
私「え?エロスと無季語ですか?それは・・・俳句じゃなくなりません?」
F「そう。当時、草城が新婚旅行を題材にして『ミヤコホテル』っていうフィクションでエロスの10句を発表したんですよ。それが大問題になったっていう有名な話しがあるんですね」
私「そうでしょうねぇ・・・俳句は子規の頃なら『客観写生』『花鳥諷詠』が常識ですもんねぇ・・・フィクションなら正反対ですよねぇ」
F「うん。だから虚子なんかから猛烈な批判がされたっていいますね。だけど、反対に、室生犀星なんかが『俳句は老人の文化ではない』って言って、応援したっていいますよ」
私「へえぇぇ・・・あのロマンチストの犀星ですかぁ・・・・。だけど、エロスと無季語の俳句ってなにを表現するんでしょうねぇ」
F「まったくの皮膚感覚・・・つまり感性なんだと思いますよ。それぞれのひとの感覚でいいんでしょうねぇ。こんなのがありますよ。
『春の灯やおんなはもたぬのどぼとけ』
どうです?」
私「・・・ううぅぅぅンンン???????・・・・」