♬ フロインデ シェーナー ゲッターフンケン
トホター アウス エリージウム・・・
ボー ダイン ザンフター フリューゲル ヴァイルト・・・・♪
(『An die Freude』Beethoven作 第九交響曲より)
昭和52年ころのYの部屋で、この歌がラジオから聞こえた。
私「お、第九の『喜びのうた』だぜ。 これが流れると、まさに年末! って感じだよなぁ」
Y「ああ、そうだよな・・・。だけど、なんで年末になるとベートーベンの第九なのか知ってるか?」
私「いや?知らない」
Y「なんでもな、戦争中の12月に、学徒出陣する学生たちの壮行会で、ベートーベンの第九が演奏されたんだってさ。それが、戦後になって戦没者の慰霊に12月になると、第九が演奏されることになったんだってよ。文化史の先生から聞いた話しだけどな」
私「うん・・・そうかぁ・・・ちょっと悲しいなぁ・・・」
Y「ああ。だけど、今は喜びの歌をみんなで歌って、こころひとつにおだやかに年の瀬を迎えようっていうイベント性が強くなってるだろ。大阪でも『一万人の第九』なんて、大きなイベントがあるじゃないか」
私「そうだったな」
Y「それと、もう一つ。クラッシク界には『第九のジンクス』っていうのがあるのを知ってるか?」
私「なんだよそれ?」
Y「ああ、ベートーベンは第九を作ってから亡くなってるだろ?そのほかに、ドボルザークが第九番目の交響曲『新世界』を作ってから、ブルックナーが第九番を作曲中に亡くなってんだよ。それで、交響曲は第九番目を手掛けると、天国へゆかなきゃならないんじゃないかって都市伝説が生まれたんだってさ」
私「・・・・・・・・・・」
年の瀬をのりきる舟に同舟す(京極杞陽)