norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

小野道風

 大学院では、おもしろい話しをしてくれる先輩が多くいた。

ある日、刑事法専門の先輩が、

 

A「なあ、のりも、花札の柳にカエルの図って知ってるか?」

私「ああ、あの小野道風が書道のことで悩んでいて、ある日カエルが柳になんどもなんども飛びついてやっと成功したことで、努力しなけりゃならないという教えを説いたやつでしょ」

 

A「そうそう。それがなんで花札の図柄になったのか、変だと思わないか?」

 

私「そういえば、花札っていうのは、まあ『ばくち』の道具だっていわれるから、あまり、小野道風とは関係ないとは思ってたんですけど」

 

A「そうだろぅ。これは犯罪史なんかでは、わりと有名なんだけどな、江戸時代は花札は禁止されてたんだよ。それでもまあ、裏社会では当然つかわれてるわな。この札での月表示は11月で、この11月の典型的事物が江戸時代の図柄なんだな。それが『柳に番傘』だったり、歌舞伎『仮名手本忠臣蔵五段目』に出てくる『斧定九郎』なんだ」

 

私「なんで11月をあらわす図柄が柳や番傘、定九郎なんですか?」

 

A「そこはよくわかんねえんだよな。一説によると11月は秋の長雨で雨が多いことがあるだろ、それを傘や柳であらわしてるんじゃないかっていうんだ。それに斧定九郎は雨の中を走ってくるだろ。シャレとしちゃあ粋じゃないか」

 

私「うんンンン・・・そうですかね・・・」

 

A「それでな、明治になって花札が解禁されると、一般でも使うもんだから、図柄が柳や番傘じゃあ芸がない。もう少し、教養あるものにしようってことで、斧定九郎の『斧』と小野道風の『小野』をひっかける、『道風の番傘と柳』もひっかけにして、あの道風カエルを見るの図に変えたっていうんだな」

 

私「・・・・(なんとみごとなダジャレ、三っつもかぁ)・・・・」

 

      ならべゆき心ときめく歌留多かな(阿波野青畝