norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

帰り花

 授業が終了した夕方、講師控室での国文学者F先生とのはなしの続きである。

 

F「さて、のりも君。この時期の季語に『帰り花』って言うのがあるんですが、知ってる?」

私「え?さあ・・・」

 

F「たとえばね、

        『凩に匂ひやつけし帰り花』

                    っていう芭蕉の句なんかがあるんですよ」

 

私「芭蕉が、どこかの帰り道に、花を持った知人にでも遭ったときの句ですか?」

 

F「いやぁ、そんな単純な状況の句じゃないんですよ。芭蕉奥の細道を終えて、

  最後の旅の途中、岐阜の大垣で弟子の家に立ち寄ったとき、

  梅だとおもうんですがねぇ、

      季節はずれの花が、ぽつん と咲いているのを見て詠んだんですよ。

  この狂い咲きといわれている『帰り花』が、

         具体的に何を指すのか分からないっていうのが定説なんですがね」

 

私「芭蕉は、その花が自分のように思えたんですかねぇ・・・」

 

F「 さあ・・・分かりません・・・

        さて、われわれも、狂わないうちに帰りましょう」

 

      いま少し時を惜しめと帰り花(鷹羽狩行)