昭和52年ころの10月の話し。
中学からの友人Yの家で、スパゲッティをごちそうになっていた。
Y「なあ、のりも。このごろ、スパゲッティのことをパスタとか言って、ちょっと小じゃれた言い方するようになったろぅ?」
私「え?そういやぁ、そうだよな。それがどうかしたのか」
Y「ああ、きのうテレビでやってたんだけど、あれイタリア語なんだってな。だけど、俺たちが小さい時は、そんな言い方しなかったろ。それに、今食べてるスパゲッティのほかに、マカロニってあったじゃないか。あれも含めてパスタって言うらしいぜ」
私「え?そうなのか?マカロニって短い麺で中に穴があいたやつだろ?あれは別物だろぅ?」
Y「お前も、うちのおふくろと、おんなじことを言ってるよ」
私「そりゃそうだろ。それが昔からの常識っていうもんさ」
Y「古くさいなぁお前は。あのな、パスタっていうのは原料が小麦で練って料理した食べ物すべて言うんだってさ。だから、イタリアだと、スパゲッティだろ、ペンネだろ、マカロニなんかすべてパスタで、ラザニアなんかだって入るんだぜ?」
私「ペンネ?ラザニア?なんだよそれ?」
Y「・・・いいよもう・・・」
私「よくない。じゃあ、うどん、ラーメン、ギョウザにシュウマイ、お好み焼きに焼きそば、たい焼き、タコ焼き・・・全部がパスタなのかよ」
Y「・・・・(まったく子供かぁ おまえは)・・・・」
馬肥えてベスビオ怒り忘じけり(阿波野青畝)