norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

モダンタイムス

  ♪ ティララッタッタ~~~~   

                ティララッタッタ~~~~ ♪(前奏)

 

♬ セベラ ジュ サトーレ 

    シェセニョーレ ジュ ノトレソ カフォ~レ   

                 ジュ ノットレシ カヴォーレ 

          ジュラトゥ ラ ティ ラ トゥヴァ~~~・・・・♪(歌) 

 

 ♪ ティラ ラッタッタ~~~   

               ♪ティラ ラッタッタ~~~(間奏)

                            (原曲はティティーナ)

 

 まるで呪文である。

山高帽をかぶりちょび髭をはやした背の小さな男が、滑稽な振りをしながら、フランス語ともイタリア語ともスペイン語とも、なにやら分からないことばで、歌をうたって踊っている。

 

 映画モダンタイムスのキャバレーシーンで、チャップリンが初めて声を出したといわれるシーンである。

何かしら、感動さえ覚えた。

ああ、こういう声なのかぁということもあった。

 

 とにかく、すごい。

何をいっているのかわからないのだが、あの体のうごきと、歌のフンイキが、悲しいまでのバカ騒ぎとともに表現されているようだ。

コメディによってその時代を表現したのであろう。

 

Yと話していて。

私「なあ、チャップリンのモダンタイムスみたか?」

Y「え、見ないよ」

 

私「なんで?」

Y「だって、あれってトーキーで白黒だろ。面白くないよ、古いし」

 

私「そんなことないよ。チャップリンがはじめて声を出して歌をうたってるからさ。曲は『ティティーナ』っていうシャンソンだぜ。お前、フランスの歌に興味あるっていってたじゃないか。見てみろよ」

 

Y「そうか、じゃあ、見に行ってくるか」

 

後日

Y「のりもぉ、お前、嘘つきやがって。あれ、フランス語じゃないだろう!!」

私「ははは、わかった?だけど、おもしろかったろ?」

 

Y「ああ、まあな。だけどアドリブだろぅ?あの歌。むちゃくちゃだけどフランス語にきこえるもんなぁ。意味はあるのかなぁ?」

 

私「なんでも、スタイルのいい女性がいて、紳士がやってきて口説くっていうことをむちゃくちゃな言語とパントマイムでコミカルに表現しているらしいぜ」

 

Y「なるほどなぁ・・・チャップリンじゃないとできない芸当だろうなぁ・・・」

私「どうだ、古くさくなかったろぅ?」

Y「ああ、全体が現代化への批判だよなぁ・・・・」

 

昭和53年4月16日。

テレビで、今日はチャップリンの誕生日であるとのニュースが流れていた。

というのは、チャップリンは前年の12月にスイスで亡くなり、この年の2月から『モダンタイムス』がリバイバル上演されていたからである。

 

 さらに、この3月にお墓が荒らされて、遺体が盗まれたという。

ううん・・・、亡くなっても波瀾万丈である。

 

       喜劇王亡しりんりんと霜の朝 (志摩芳次郎)