norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

奈良

A「食べ物にうまいものなし!!これが奈良だよ」

B「おまえねぇ・・・今の時代、それちょっと言い過ぎ・・・」

 

大学仲間で近畿での名物旨いものの話しをしていた。

A「そうだろ?大阪はうどん・お好みなんて粉もの、神戸は牛肉、京都は懐石なんてことで、いくらでも出てくるじゃないか」

 

C「まぁまぁ・・・喧嘩するなよ。ところで、思いだしたんだけど、その奈良の『食べ物にうまいものなし』ってことばの元になったのが志賀直哉だって知ってる?」

 

A「え、あの『城崎にて』なんかを書いた志賀直哉か?」

 

C「ああ。直接、うまいものなしって言ったんじゃなくて、昭和のはじめに奈良の観光局から志賀直哉が観光パンフレットを書くようにたのまれたんだってさ。そのなかに、

『食ひものはうまい物のすくないところだ。私が・・・五六年前は牛肉だけは大変いいのがあると・・・』って紹介してるんだってよ。奈良に住んでるおじさんが言ってたから、まちがいないと思うぜ」

 

B「へぇぇぇ~~~、志賀直哉だから昔のことだろぅ?それ昭和何年くらいのことだろ」

A「昭和13年頃だってさ。志賀直哉は一時奈良に住んでたから、その縁で頼まれたんだろうな。昭和46年の今日に亡くなってるから、なんだか縁があるなぁ」

 

A「しかし、昭和13年から今になっても、おいしい物が見つからないなんてなんだかなぁ・・・」

B「うん・・・食べ物だって『暗夜行路』ってことか」

 

A・C「・・・・・・・・」

 

     食足りて寝足りてふかみゆく秋ぞ(杉山岳陽)