昭和53年ごろ、地下食堂で、しゃれ者で刑事法専攻のOと。
O「天高く馬肥ゆる秋かぁ・・・」
私「また、馬かよ。お前好きだなぁ、馬の話し」
O「そりゃそうさ。この大学に来た時の坂道での馬との出会いだけは忘れられないもんなぁ。いくら乗馬用だって、大学構内で一般学生といっしょに馬が学舎に向かうなんて考えられないからなぁ・・・」
私「おいおい、待てよ。それじゃまるで、学生の馬が居るみたいじゃないか」
O「はじめてのときは、そうかと思ったよ」
私「ばか言え・・・」
O「ははは。ところでさ、この時期をあらわす『秋渇き』っていうことばがあるの知ってる?」
私「あきがわき?なにそれ?」
O「夏は暑くて食欲がなくなるだろ?それが秋になると、回復して馬も人間も渇きを癒すかのように食欲があがることをいうんだってさ」
私「なにも、馬と人を対比しなくってもいいだろぅ?」
O「お前と居ると、どうしても馬がついてくるんだよなぁ」
私「もぅ・・・・・・・」
馬小屋を覗きてよりの秋渇き(木野なほみ)