昭和53年のこと。ハチヤ君と。
ハ「のりもさん、10月神無月の意味は知ってますよね?」
私「ああ、全国の神さまが出雲に集まるからだろ」
ハ「そうですよね。そこまでは常識として、神様がいなくなったところは、どうなるでしょうか?」
私「え、どうなるって・・・そのままだろぅ?」
ハ「ちがうんですよね。地方地方の神さまがからっぽになったら、用心が悪いじゃないですか」
私「用心が悪いって、なんかどろぼうでも入るみたいだなぁ」
ハ「どろぼうというわけじゃないですが、神様にもいろいろあって、出雲にはゆかないで、留守番をする神さまが居るんですよ」
私「え・・・はじめて聞いたよ。そうなの?」
ハ「留守番神っていって、『恵比寿神』『かまど神』『道祖神』だってされてるんですよね」
私「へぇぇぇ~ なんで?」
ハ「理由ははっきりしないんですけどね。『かまど神』や『道祖神』は庶民に身近な神さまで居なくなっちゃあすぐに日常生活に困ることがあるじゃないですか。それでなんでしょうね」
私「うん、うん。それで、えべっさんは?」
ハ「これが、難問なんですよね。恵比寿神は、本来日本の神さまじゃないから、日本の神さまが集まる出雲にはゆかないんだとか、10月秋は『あきない(商)』真っ盛りの時期なんだから、その神さまが地元を離れてもらっちゃ困るっていうしゃれだとか、 10月末にえびす講を行なうことが多いからその主役が居なくてどうすんだっていうことだったりするんですって」
私「その最後のえびす講って何すんの?」
ハ「秋の五穀豊穣と商売繁盛を祈願するお祭りみたいなもんですね」
私「はははハハハハ・・・なにか、留守番をしてスネてる、えべっさんのご機嫌取りをしているみたい」
ハ「・・・・・・」
神無月神と道行するつもり(塩田峯子)