昭和53年ころのこと。大学地下食堂でハチヤ君と。
ハ「のりもさん、今日は『とおかえびす』ですよ。行かれます?」
私「え?行かないよ。俺は商売人じゃないもの。おやじが居たころは、連れて行ってもらったこともあったけどさ」
ハ「別に商売をしてるかどうか、関係ないのに・・・家内安全、五穀豊穣って別のお願いをすることだってあるんですよ」
私「そうなの?」
ハ「そうですよ。えべっさんっていうのは、本来、海の神さまなんですよ。だから、どんな絵でも、釣り竿と大きな鯛をかかえてるでしょ?」
私「なるほど、だけどなんで商売の神さまになるんだろ?」
ハ「ま、そこが大阪らしいというか、商売人の街だからでしょ。ま、民間伝承でえべっさんが誕生したんだから」
私「え?どういうこと?」
『事大主神(ことしろぬしのかみ)』で、
この神さまは大国主神の子供なんです。
その事大主神が釣りをしているときに、大国主神から使いが来て、
国を譲るから治めなさいっていう宣托を受けるんです。
だから、いつも魚を抱いた姿で出てくるんですよ」
私「はははは・・・おもしろいなぁ・・・だけど、そのとき、
なんにも釣れない『ぼうず』だったらどうなったろ?」
ハ「もぉ、そんなこと言ってると、神さまと仏様の両方のバチが当たりますよ!」
私「・・・・・・」
十日戎浪花の春の埃かな(岡本松濱)