わがサークルの部室における入り口ドアは、木でできていた。
ある日、この部室に行ってみると、ドアに油性マジックで大きく
「熱なき者は去れ!」
と書いてある。
何事がおこったのか、分からないでいた。
2・3日して悪友と3年の先輩たちと広場で話していて、このナゾがやっと解けた。ドアにこれを書いたのは、俊英の誉れ高き4年のY先輩である。
その理由は、土曜日の法律相談会に下級生が無断で欠席するため、事務処理に支障をきたしたことがあったり、Y先輩が主催する学生研究会に無断で欠席したり、勉強不足で出てきたりと、相当、Y先輩を怒らせることが重なったのが原因であった。
これを知っている3年生の加賀先輩が、
「お前ら、注意しろよ。今、Y先輩は相当、機嫌がわるいからな。へたに近づくと雷がおちるぞぉ」と言って、教室へ行ってしまった。
そうこうしていると、学舎の方からY先輩がカバンを持ってこちらへやってくる。
それを見て、KやMはさっさと、どこかへ消えてしまった。
そのあと、Hが私に、
H「おい、のりも。来週の研究会の予定を、Y先輩に言っておいてくれよな。まかすぜ」
私「まてまて、なんでだよ。お前、その掛りじゃないか。お前がいえよ」
H「いいじゃないか。お前は、末っ子で親兄弟に叱られ慣れてるだろぅ。じゃあな、たのむぜ」と言って、授業に行ってしまった。
そのあと、Y先輩にHから聞いていた研究会の予定を告げると、細かなところまで、Hから教えられていなかったため、説明に窮した。
Y「何を、中途半端な説明をしてるんだ。お前はいつもそうだろぅ。もう一度、調べなおして連絡しろ!!!だいたい、お前は・・・・」
と、予想通り、叱られることになった。
・・・・俺は弾除けかよ・・・・
あとで悪友Hいわく
「ちがうちがう、避雷針!」
・・・・・もう・・・・
こんなに小鳥が知らせに来るよ雷くるぞ(金子兜太)