「カンパぁ~い!!!」
久しぶりの飲み会である。
ゼミ生が8月末に集まって、飲みにゆこうということになった。
28人のゼミ生中15人ほどが大阪のビヤホールに集まったのである。
2・3日前に電話での連絡が回り、在阪のゼミ生が情報収集を兼ねて集まっている。
みんなが最後の夏休みの中で、ほとんどの者が家で就職活動に集中していて、ゼミ生と話す機会がなかったためである。
地方から下宿に戻ってきた者も、この飲み会に加わっている。
あちこちで、2か月分のたまった話しが飛び交う。
大ジョッキーのビールが並ぶ中、鳥のから揚げ、ポテト、ウィンナーソーセージ、ピクルス、ザウワークラウトなど量のある物が次々と出てくる。
最高齢のYが全部を取り仕切ってくれている。
「なあ、これで足りるかぁ?ビールをまだ飲みたいやつ?」
「まめ」なものである。
大阪弁でいう『文句言い』で、「のんべ」の、イヘイが
「おれもうカラやぁ」「Y、もう一杯!!」とカラのジョッキを差し出す。
Yは少し、むっとして
「イヘイ、飲みすぎ!ペースを考えろよな。前も、おまえつぶれたろうが」
この非難に、イヘイは、ぶつぶつ言っている。
就職活動が思わしくないのであろう、しばらくしても、まだぶつぶつ、ぶつぶつ言っている。
そこへ、遅れてオオハシがあらわれ、イヘイが新しいジョッキを手に、にこにこしながら、彼に話しかけはじめた。
オオハシはイヘイより1つ年上で、家庭では長男である。
イヘイはオオハシに甘えやすいのが分かる。
末っ子のイヘイは、うまくなだめてくれるオオハシがいると、機嫌がいい。
「まったく、わがままなやつ・・・」とYがぽつんとつぶやいていた。
ははは・・・同じ末っ子の私には、この状況がよくわかった。
酒は出ないが、わが家でもよく同じような風景が・・・・・
ビールよく冷え良友に悪友に (後藤比奈夫)