KがS先輩と部室で将棋を始めた。
S先輩はわれわれより2年学年が上で、将来は法曹資格を取って、事務所をひらくつもりの俊英である。
Kとは気が合うのか、よく馬鹿話をしたり、このように部室で将棋を差している。
S「K、お手は?」
K「えぇぇっと、香・角・銀・・・・と歩が二枚」
S「うん?金がないから、まだだいじょうぶか。よし、勝負!!」と飛車で攻め込む。
K「先輩、残念でした。俺の方が先手だから、ここで歩成り王手」
そう、Kの方が先手であるため、一歩、手が早くなり、ぎりぎりで王手にたどり着くのが早いのである。勝負は決った。
S「しまった!!まった、まった!」
K「だめ。先輩、勝負は勝負」
S「くそぉ、もう一番」
いつ終わるのやら。
おい、K、いっしょに帰る約束だろ、どうすんだよ。
帰宅ラッシュに重なるのに・・・・
縁台の王手飛車取り秋うらら(宮下師水)