♬ 左利きのあなたの手紙 右手でなぞって真似てみる
いくら書いても埋めるつくせない 白紙の行がそこにある・・・
あの夏の日がなかったら 楽しい日々がつづいたのに
今年の秋はいつもの秋より 長くなりそうなそんな気がして・・・・♪
昭和60年ごろ、大学のコピー室にゆくと、東洋法制史専攻のハチヤ君が鼻歌をうたいながら、今コピーしたと思われるB4の大きさの紙を二つ折りにして整理していた。
ハ「♪ あの夏のぉ~ひが フフフン フン~・・・・たのしい・ひびが・・」
私「おや?また、寂しい歌でもってしごとしてんだね・・・どうしたの?」
ハ「え?あぁ・・・そうですか?特別に意味はないんですけどね。
やっと本格的な秋になってきたでしょ。
この曲ってなんとなく、しっとりとしてて、秋にふさわしいもんだから、
つい口についちゃって」
私「へぇぇ~・・・それはそうと大変だね。
コピーを二つ折りにしてるの?何枚あるの?」
ハ「ええ・・・百枚くらいですかね。
この本買おうと思っても、もう絶版なんですよね。
だから図書館から借りてきて必要なところをコピーして
製本しとこうかと思って・・・
だけど、この紙を二つ折りにして・・・
きゅっきゅっっていう感触・・・
いいんですよねぇ・・・
♪ むかしのひとの~ ちしきのきろくぅ~みぎてでなぞってみるたびに~~~
なんてね」
私「ははは・・・だけどさ、
♪ この本がぁなかぁったらぁ~ たのしい日々がすごせたのにぃ~
なんてこともあるだろ?」
ハ「・・・・・・」
秋日や古書に翁の走り書き(のりも よしあき)