norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

スズカケノキ

  ♬ 人は誰もただ一人旅に出て 人は誰もふるさとを振り返る 

   ちょっぴりさみしくて振り返っても そこにはただ風が吹いているだけ・・・

      プラタナスの枯葉舞う冬の道で プラタナスの散る音に振り返る・・・♪

     (『風』はしだのりひことシューベルツ 作詞:北山修 作曲:端田宣彦)

 

 昭和60年頃、ある大学で商学専門のJ先生と親しくなった。そのときの話し。

J「のりもさん、あなた、はしだのりひこの『風』って歌、知ってます?」

 

私「え?あの♪プラタナスの枯葉舞う~ってやつですか?」

 

J「そうそう。そのプラタナスって日本でいうスズカケノキなんですよ」

私「ええ・・・」

 

J「あのね。私があの曲を初めて聴いたのが、

    アメリ証券取引所についての講義をしていたころでしてね。

 アメリカニューヨーク証券取引は、1792年5月17日に出来たんですけどね、

 このときウォールストリート68番地の外に立っているスズカケノキの下で、

    24人の株式仲介人が、『すずかけ協定』

              っていう契約を結んだことから始まってるんですよ」

私「へえぇぇぇ・・・」

 

J「そこんとこが、ちょっとうれしくてねぇ」

私「どうして・・・ですか?」

 

J「商学っていうのは、本当に実践的な学問分野でしてね。

   他の学問領域からは、ちょっと下に見られることが多くて。

       ま、いえば哲学がないとか、あれは純粋な学問じゃないとかね」

 

私「ぇぇ・・・???」

 

J「スズカケノキっていうのは、

  古代ギリシャで、ソクラテスプラトン

      この並木の下で哲学を説いていたという哲学の象徴なんですよ。

   だから、いわば伝統的学問の象徴でもあるんですよね。

   スズカケノキの下で生まれ育った証券取引が、

      冬になって枯れたスズカケノキの葉っぱが風で飛ばされても、

      しっかり生きているよって、わたしには聞こえるんですよねぇ・・・」

 

私「・・・ハハハ(なるほどぉ)・・・・」

 

     プラタナス夜もみどりなる夏は来ぬ (石田波郷