ある大学の講師室での話し。
F「のりも君、この前、
「立てば芍薬といすりゃ牡丹・・・」の話し、したでしょ?
覚えてます?」
私「ええ、あの都都逸の歌詞になってるってやつですよね」
F「そうそう。あの芍薬だけど今日の誕生花なんですよ。知ってましたか?」
私「へぇぇ~~そうなんですか」
F「ええ、この前、園芸の本を読んでいたら、書いてあったんですよね。
芍薬ってこの時期に咲くでしょ。
どうも、ローマ・ギリシャ時代からそう言われていたらしくってね。
花自体が豪華でピンク色をしているものも多いので、美人にたとえられるんですよ」
私「なるほど・・・」
F「花ことばは、『恥らい』でね、
夕方になると花を閉じてしまうのでこういうんですね。
イギリスでは、はずかしがりの妖精が、
芍薬の花に隠れて赤くなったからだっていう伝説もあるらしいですよ」
私「はは・・・それってちょっといいですねぇ。
だけど、そうすると芍薬はあまり国文学にはなじみませんね?」
F「うん?・・・・そんなこともないですよ。
芍薬はだいたい江戸時代に入って観賞用に栽培されはじめたんで、
前に言ったように都都逸になったり、一茶なんかは、
『目覚しのぼたん芍薬でありしよな』
っていう句なんかがありますからねぇ。
そうだ、この句、どう解釈します?」
私「え?」
F「ほら、一茶になったつもりで、考えて。ほら!」
私「・・・・・・・」
五月ばれ花とも見ゆる若葉道(のりも よしあき)