昭和54年頃、大学の地下食堂でハチヤ君と話していた。
私「ちょっとあったかくなったと思ったら、また寒くなるなぁ・・・」
ハ「そうですよね。ところでね、
今日が『桜田門外の変』が起こった日だってこと知ってます?」
あれって、3月3日のひなまつりの日じゃなかったの?」
ハ「それは、旧暦のことで新暦なら3月24日の今日になるんですよ」
私「へえぇぇ~~・・・そうなの?」
ハ「そうですよ。それで想い出した。
井伊直弼って第15子なんですよ。
本来は家を継いで大名にはなれないし、
大老なんていう幕府の役職になんかつけない身分だったんですよね」
私「第15子って・・・まさに15番目に生まれた子供ってこと?」
ハ「ええ。だから生まれたときからもう跡継にはなれないから、
成人前後に、城から出て、『埋木舎』っていう屋敷で生活してるんですよ。
彼の作った歌に
世の中をよそに見つつもうもれ木の埋もれておらむ心なき身は
って、その志をあらわす和歌を詠んでるんです」
私「へぇぇ~~~」
ハ「それで15歳から、この部屋積みの生活なんですけど、
32歳のときに前藩主が亡くなって、
結局、めぐりめぐって直弼にお鉢が回ってきたんですって」
私「ふぅぅ~~~ンン・・・
埋れ木が満開桜になったのかぁ・・・
だけどまぁ・・・それがしあわせだったかどうか・・・」
ハ「・・・・・・・・・・」
さくら一本春にそむけるけはひかな(蕪村)