norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

北窓

   ♬ 北の街ではもう 悲しみを暖炉で 燃やし始めてるらしい・・・

          ・・・の春は 何もない春です・・・・♪

               (『襟裳岬』作詞:岡本おさみ 作曲:吉田拓郎

 

 昭和53年のわが大学の大部屋研究室で。

 

A「おーい、ぼたもち買ってきたから、みんなで食べようぜ」

B「うん?どうした?めずらしい」

 

A「ああ、駅を降りたらさ、スーパーの前でぼたもちの大安売りやってたんだよ」

C「おぅ!いいなぁ・・・お茶淹れようぜ」

 

みんなで集まって、ぼたもちをほおばる。

B「季節ものだよなぁ・・・春のぼたもち!うん、いけるなぁ」

C「ああ、まさに『棚からぼたもち』!」

 

全員「ばか!」

 

C「ははは・・・・」

 

D「ところでさ、ぼたもちって、季節によって呼び名が変わるっての知ってる?」

 

B「え?そうなのか」

 

D「ああ。春はぼたもち、夏は夜船、秋はおはぎで、冬は北窓ってな」

 

C「『♪ きたまどから さくらに乗って おはぎにつ~いたぁ~』

       (本歌『長崎から船に乗って』作詞:山口洋子 作曲:平尾昌晃)

 

B「まだ言ってるよ・・・」

 

A「それでなんで冬は北窓なんだよ?」

 

D「冬の北の窓って月が見えないだろ?

   それでぼたもちって、もちと餡で造るじゃないか。

 そのとき、ぼたもちの餅って臼と杵でついて作らないんだってさ。

 それで搗かない、つまりつきなしで、月がない北の窓なんだってよ」

 

A「へぇぇ~~~しゃれかぁ」

 

C「♪ 北の窓はもぉぉ~ すべてが食べられぇ~ 何もない春ですぅ・・・」

全員「・・・・・・・・・」

 

                    ぼた餅や地蔵のひざも春の風(一茶)