昭和55年の大学地下食堂で、後輩のハチヤ君と。
私「もう、2月も終わりだなぁ」
ハ「そうですね。しゅうとう ですねぇ・・・」
私「え?しゅうとう?」
ハ「そう、冬の終わりで『しゅうとう』」
私「そんな言い方ってあるの?」
ハ「ありません」
私「なんだよそれ」
ハ「ははは・・・だけどね。終わりっていう字自体は、糸へんに冬って書くでしょ。
それで『冬が終わる』っていうのを説明するときに、
『しゅうとう』っていうことばを使ってもいいと思うんですよ?」
私「え?どういうこと?」
ハ「終っていう字は、典型的な象形文字なんです。
糸というのは糸をいっぱい巻いてある糸巻をあらわして、
冬っていうのはもともと四季をあらわすんじゃなくて、
これも糸の端の最後をあらわす象形文字なんです。
だから、終わりって、おおざっぱにいえば
糸を巻いたものがさいごの端まで来ましたよっていう字なわけです」
私「うん・・・なるほど・・・」
ハ「でね、冬っていうのは最後って意味になるんですが、
それが転化して四季の終わりの季節をあらわすようになったんですよね。
春夏秋冬で冬が最後でしょ。ということはですよ、
その冬の最後はもう一度終わりって言う字を付けなきゃならないじゃないですか。
だから終冬」
私「ううゥゥンンンン・・・・しかし、それなら
文法的語順ではトウシュウ(冬終)じゃないかぁ?・・・・」
ハ「ううンンンンンン・・・・・そうかなぁ?・・・・」
・・・冬のおわりっていえばいいでしょ・・・・(天のこえ)
何残るとなけれど冬日なつかしむ(右城墓石)