昭和55年頃のこと。
Yの家へゆくと、机の上にいっぱい紙片を広げてうんうん唸っている。
私「おい、何してんの?」
Y「おう、のりも。また、油売りにきたのか?ちゃんと勉強しろよ・・・大学はじまってんだろ?」
私「何言ってんだよ・・もぅ・・・で、お前なにしてんの?」
Y「ジグソーパズル。部屋の模様替えしようと思ってさ」
私「え?模様替え?」
Y「ああ・・・今日、ミナミの本屋へ行ったら、この『モナリザ』のジグソーパズルを見つけてさ。これ完成すると壁掛け用の絵になるんだぜ。遊びになるし、実用的だし、いいだろぅ。この殺風景の部屋がちょっと美術館みたいになるじゃないか」
私「え・・・美術館ってオーバーな・・・・だけどまぁ・・・また、ジグソーがこの頃はやってるっていうからなぁ」
Y「そうだろ」
私「ええっと、解説してある紙をみせろよ・・・・なになに・・・モナリザはイタリアの巨匠レオナルド・ダビンチの作で・・・本商品は2,000ピースの・・・・。えぇぇぇ!!!2,000ピースぅ!!!!!」
Y「なんだよぅ、大声出して?びっくりするだろうが」
私「俺の方がびっくりだよ。2,000ピースだぜ、2,000ピース。飽き性のお前にできるわけないだろうが」
Y「うるせぇ!!やるよ。せっかく頑張ろうとしてるのに、気勢をそぎやがって。もう・・・きょうは、やめやめ!!!」
・・・やれやれ・・・完成に何年かかるんだろ????・・・・
ダビンチも未完成とは聞きながら紙片ちらばるモナ・ジグソー
(のりも よしあき)