ある日の昼休み。ハチヤ君が飛ぶようにやってきて、
いわく。
ハ「のりもさん、調べましたよ。あれ、あれ!」
私「え?」
ハ「もぉ、ゆきあいの空!」
私「あぁ、ははは・・・まだ覚えてたのか?」
ハ「ええ、くやしいから、調べましたよ。でね、行合いの空って、今の時期の夏空と秋空のせめぎ合い状態のことをいうんですってね。雲の状態なんかが、夏雲と秋雲とが混在するって言うか、まじりあっている状態なんかを指すんだって」
私「うん、まぁそうだよな」
ハ「季節のうつりかわりを表すことばで、古今和歌集の夏歌のいちばん最後で
『夏と秋と ゆきかふ空の かよひじは かたへ すずしき風やふくらむ』
と詠まれてて、これが行合いの空っていうことばのきっかけでもあるっていうんでしょ」
私「へぇぇ~~~、そうなのかぁ・・・」
ハ「そうなのかって・・・・」
私「いやぁ、意味はそうなんだよな。おれは俳句の季語だということと、行合いだからほら、牽牛・織女の出会いを象徴的にあらわすっていうことを覚えてるのさ。
和歌でもたとえば、金葉和歌集でさ、
『万代(よろずよ)に君ぞみるべき七夕の行合ひの空を雲の上にて』(秋)
って詠まれてるんだよな。そっちを考えてたんだよ」
ハ「あ・・・それもいいなぁ・・・・・」
夏空が秋空になる刻に音(鳴門奈菜)