norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

漱石忌

 12月9日は漱石忌だそうである。

そこで思い出すのは、昭和53年ごろの12月に同期でしゃれ者の刑事法専攻Oと一緒に帰りの電車に乗っていたときのこと。

 

O「なぁ、のりも。漱石って俳句を2,500も作ってるって知ってる?」

私「え?あの文豪の夏目漱石か?」

 

O「そうだよ」

私「へぇぇぇ~~~。だけどまたなんで漱石を思い出したんだよ」

 

O「いやぁ・・・なんとなくなんだけどさぁ。物を作るっていうことじゃあ、今、われわれが論文を書いてるのと一緒だろ。ふと、思いだしたんだよ」

 

私「そうかぁ、だけど、すごいよなぁ・・・芭蕉で、たしか・・・、確認された分で、980くらいだぜ」

 

O「うん・・・だけどな。漱石の俳句ってすぐに思いつくか?芭蕉だとさ、『古池や・・・』とか、『松島や・・・』とかさ、すぐに出て来るじゃないか。なんでだろ?」

 

私「そりゃ、詫び寂びの境地の俳諧創始者だってことがあるし、有名だからだろ。みんな中学・高校で習ってるもんなぁ」

 

O「だけど・・・漱石だって有名だぜ・・・小説だけどさ」

 

私「『芭蕉忌や芭蕉に媚びるひといやし』ってね」

 

O「なんだよそれ?」

 

私「子規が芭蕉忌をテーマに詠んだ句だよ。子規と漱石って友人だったろ。漱石は俳句で有名になりたいなんて思っちゃいないさ。子規の影響を受けて、自然な自分の心情をうたい上げたんだろ」

 

O「そうかなぁ・・・石に漱ぎ、水に枕しようっていう『へそまがり』だぜ・・・」

 

私「・・・・・・・」

 

       全集の一巻手ずれ漱石忌(岩鼻十三女)