ある12月の昼下がり、国文学者のF先生とお茶を飲みながら・・・
F「いやぁ・・・そろそろ押し詰まってきましたねぇ・・・
『此のものは花の春へと急ぎ候お通しなされ年の関守』
っていう心境ですねぇ・・・」
私「え・・・?」
F「あぁ・・・知らないか。
これは江戸時代の狂歌師 頭光の歌でね、
年末のあわただしさを狂歌にしてるんですよ」
私「つむりの・・ひかり・・ですか?」
F「ええ、それもしゃれで、
岸文笑っていう浮世絵師で狂歌師でもあるんですがね、
中年のころから頭が禿げてきたのでこんなシャレた名を付けてるんですね。
この歌も、
『私は新春の正月に向けて急いでおります、
それを妨げる関所ともいうべきいろいろな雑事様、
心あるならばどうぞお通しください』
っていうくらいのことを しゃれで 言ってるんですよ。
なんとなく、くすっと笑いたくなりませんか?」
私「ははは・・・なるほど・・・」
F「まぁ、こんなことを言ったって、
師走にしなきゃならないことっていうのは多くって、
学年末の用事や大掃除・・・・賀状書き・・なんて、
いろいろなことをかたづけなきゃなりませんからねぇ・・・
大変だ・・・」
私「・・・(まさに・・・お通しくだされ・・・か)・・・・」
うしろから追はるゝやうな師走哉 (子規)