♬ あなたの愛した ひとの名前は
あの夏の日とともに 忘れたでしょう・・・
これから淋しい秋です 時折手紙を書きます
涙で文字がにじんでいたなら わかってください・・・♪
(『わかって下さい』作詞・作曲:因幡晃)
昭和53年11月、Yの部屋で話していた。
ラジオからこの曲が流れている。
Y「なぁ、のりも。この歌で思いだしたんだけど『しゅうせん』って知ってる?」
私「え?『終点』?電車でも乗ってどこかへ行くのか?」
Y「どんな耳してんだよ、もう・・・。しゅうせんだよ!!!秋に扇と書くんだよ。『あきおうぎ』と言ったりもするんだがな」
私「なんだよもう。それがどうしたんだ」
Y「秋になると涼しくなるだろうが。そうするとさ、暑かったときには必要だった扇が要らなくなるよな。そういう、不必要になった淋しい状況のことを秋扇っていうんだってさ。テレビで前に言ってたんだよな。それで調べてみるとさ、『男性からの愛を失った』っていう中国故事からはじまったっていう説があるんだよ。なんだか、この歌にぴったり来ないか?」
私「俺なら、
『秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる』
Y「なんで?」
私「扇の風くらいじゃあ、秋だって分からないじゃないか」
Y「・・・・(ばか)・・・・」
秋扇やさむくなりたる夜のあはれ(飯田蛇笏)