大学の食堂で。学生が話している。
A「あれ、そのトマトたべないのか?」
B「ああ、俺、野菜きらいさ」
A「もらい!!ところでさ、俳人の飯田蛇笏が
『もぐ蕃茄ぬくみて四方に雲むれぬ』って詠んでるの知ってる?」
B「しらない。なんだよそれ?」
A「この蕃茄っていうのが、分からないと、この俳句は分かんないんだよな。なんだと思う?」
B「うぅぅンンン?わからん、教えろよ」
A「おまえが、要らないって言った、これだよ」
B「え、それはトマトだろ?」
A「ああ、そうさ。別名を蕃茄っていうのさ。どうも中国語からきてるらしいよ」
B「そうか・・・」
A「おまえさぁ、このトマトを食べないことで、この蛇笏がいう夏の気分を、一回損したことになるんだぜ」
B「・・・・・・」
トマト熟れ爛れて赤く秋暑し(山口青頓)