norimoyoshiakiの日記

昭和40年の後半からの学生生活と、その後のことを日記にしています。ご意見をお待ちしています。

蕃茄

 大学の食堂で。学生が話している。

A「あれ、そのトマトたべないのか?」

B「ああ、俺、野菜きらいさ」

 

A「もらい!!ところでさ、俳人の飯田蛇笏が

『もぐ蕃茄ぬくみて四方に雲むれぬ』って詠んでるの知ってる?」

 

B「しらない。なんだよそれ?」

 

A「この蕃茄っていうのが、分からないと、この俳句は分かんないんだよな。なんだと思う?」

B「うぅぅンンン?わからん、教えろよ」

 

A「おまえが、要らないって言った、これだよ」

B「え、それはトマトだろ?」

 

A「ああ、そうさ。別名を蕃茄っていうのさ。どうも中国語からきてるらしいよ」

B「そうか・・・」

 

A「おまえさぁ、このトマトを食べないことで、この蛇笏がいう夏の気分を、一回損したことになるんだぜ」

B「・・・・・・」

 

    トマト熟れ爛れて赤く秋暑し(山口青頓)