『 まだ 甘口の酒が多いとお嘆きの貴兄に・・・・・
♪ やぁっぱり~~~おぉれわぁ~~ キクまさむねぇ~~~ ♪ 』
(『初めての街で』CMバージョンより
歌:西田佐知子 作詞:永六輔 作曲:中村八大)
昭和57年のこと、Yの部屋でテレビを見ていると、清酒のCMが流れた。
Y「おい、この歌手って西田佐知子だろ?」
私「ああ、むかしからの曲だよなぁ。これくらいの時期になると、日本酒のCMがはじまるものなぁ」
Y「うん、むかしから、このCM好きなんだよなぁ、俺。ところでさ、この酒の命名のいわれってなんだろぅ?正宗っていうのが気になるんだよなぁ」
私「そんなの知らないよ。ま、最初に、秋に正宗さんが造ったんじゃねえのか」
Y「よし、しらべてみよう」
1週間ほど経ってYの家へゆくと。
Y「のりものりも、分かった分かった」
私「なんの話しだよ?」
Y「正宗さ、正宗」
私「え?何か本でも見つけたのか?」
Y「いやぁ、行きつけの立ち飲みのおやじに教えてもらったんだよ。そこは酒屋もしてるから、酒のことはよく知ってんだよ。『餅屋は餅屋』だもんな」
私「餅屋じゃなくて、酒屋だろ?」
Y「ばか、つまんねえことを言うな。あのな、酒の正宗っていう名前は江戸時代からなんだってさ。灘五郷の酒造商が京都のお寺に行ったときに、『臨在正宗』っていう経典を見たそうだよ。その正宗って書いてあるのをみて、『しょうしゅう』とか『せいしゅう』って読めるじゃないか。この『せいしゅう』っていうのが清酒とつながって何か新鮮なものを感じて、自分の作った酒に『正宗』っていう銘をつけたんだってさ。それが、江戸で大はやりして、全国で真似られるようになったってんだ」
私「ふうぅぅん・・・それで、菊正宗は?」
Y「そりゃ、みんなが正宗じゃ混乱するじゃないか?区別するために菊って頭に付けたんだって言ってたよ」
私「そうかぁ・・・この酒が、べつに秋にできたわけじゃないのか・・・・」
熱燗にてやんでぇばかやろめが(高澤良一)