昭和53年ころのこと。
大阪では電車通学をしていると、11月になったとたん、電車内の学生服が、黒や紺色の落ち着いた色合いに変わる。
寒さが加わるのと、暖房が入るので・・ああぁ・・・今日から中高生は冬服かぁ・・・という季節の変わり目の落ち着きを味わうことになる。
大学の坂道を登っていると、いつものように、しゃれ者Oと一緒になった。
O「おはよう、のりも。寒くなってきたなぁ」
私「おお、おはよう。あれ、もうコートを着てんの?」
O「ああ、ちょっと薄めの秋用コートさ。お前寒くないのか?」
私「うん?そうでもないぜ。このパーカーの下に、薄いけどセーター着てるしさ」
O「まったく、季節感のないやつだなぁ・・・。高校生だって冬服に変わってるのに」
私「なんだよ、もう・・・」
O「あのな。電車のなかで、高校生が白いセーラー服から紺のセーラー服に変わってんだぜ」
私「それがどうしたんだよ」
O「かわいいんだよなぁ・・・だけど、なんとなく大人っぽくなってしっかりしたように見えないか?衣替えって、けじめでもあるんだよなぁ・・・」
私「・・・・・・」
身に合わせて冬服の紺旅に出る(本多草明)