昭和56年10月。
そのとき、大学での友人たちとの話し。
A「おい、すごいなぁ。ノーベル化学賞って日本初だぜ」
B「うん、うん。だけど新聞に書いてあったけど、受賞の研究がフロンティア理論っていうんだってさ。分かる?」
A「分かるわけないだろ」
C「スイ・ヘイ・リーベ・ボクのフネ・・・ってね」
B「なんだよそれ?」
C「高校の化学で覚えなかったか?元素記号」
B「元素記号?」
C「ああ。水素とかヘリウムとか、元素を重さの順に並べた表があったろう。あの暗記方法さ」
A「そういやぁ、高校2年生くらいのとき習ったなぁ・・・それがどうしたんだよ」
C「いやぁ、化学っていうことで思いだしただけさ。だけどな、元素ってこれ以上、分解できない物質をいうんだろ?」
B「それがどうした」
C「うん、われわれにすれば、『福井先生のノーベル賞受賞』っていうのが、元素だってことだよ」
A・B「・・・・・・・・・」
地に降りて人に動じぬ秋の鳶(高澤良一)