昭和58年中学からの友人Yと。
Y「なぁ、西暦1600年の今日に、関ケ原の戦いがあったんだってな」
私「うん?そうかぁ・・・なんで」
Y「いやぁ。NHKの大河ドラマで『徳川家康』やってるじゃないか。あれ見てて、石田三成役の俳優が、牢屋でのどが渇いたから白湯をくれって言ってるシーンがあってさ。その時、牢番が『柿でも食ってろ』って言ってたんだよな。それで、ああ、季節が秋なんだと思って、調べてみたのさ。そうするとな、旧暦ではあるんだけど、関ケ原の合戦っていうのは旧暦の9月15日で新暦の今日なんだってさ」
私「へぇぇぇ~~~。まあ、年号は覚えてても、日付までは知らないものなぁ。それで?」
Y「うん、このときの三成の返事でさ、ある伝記本によると『柿は痰(たん)の毒になる。いらぬ』っていうセリフがあってさ。この『痰の毒』ってのが分からないんだよなぁ・・・・」
私「うん?どういうこと」
Yの言うには、痰というのは喉の病気で痰がでるような気管支炎とか肺にかかわる病気だが、こうした痰が出るような症状はかえって、柿のタンニンなどが良い働きをするのであって、三成の言っていることが間違っていることになるそうである。そうであれば、ここでいうタンというのは、胆の間違いで内臓を表すのではないか。そうすると、柿というのは昔から体を冷やすといわれていて、体に毒というのも分かるのである。果たして、どちらの意味だろうというのである。
Y「どう思う?」
私「どっちでもいいんじゃなぃ?」
Y「なんで?」
私「お前の言うのは科学的なことだろ。この話しは三成が処刑前まで体を大事にしたってことで話が残ってんじゃないか」
Y「うん、それで?」
私「そのとき、三成が最後までりっぱな態度だと感心するか、最後まで悪あがき的に憎まれ口を叩いたか、どう判断するかは、ひとによるんだよなぁ・・・」
Y「ああ・・なるほどぉ・・・だけど柿って何か意味があるのかなぁ・・・」
私「うん・・・本によるとさ、柿ってわりと『さみしさ』の象徴なんだよなぁ。このとき、三成も処刑まえだろ?」
Y「ああ・・・『柿食えば鐘が鳴るなり』かぁ・・・・」
私「・・・・・・・」
柿を食ひをはるまでわれ幸福に(日野草城)