大学学舎ホールソファーで 数人の学生が、おしゃべりをしている。
A「なあ、今日は全国で海開きだよなぁ」
B「ああ、テレビニュースでそういってたな。どうして?」
A「いやぁ、考えてみると、今日は富士山なんかでは、山開きしてるんだぜ」
B「うん、それで?」
A「山の方は人気がないのか、ちっとも大きく放送しないじゃないか」
C「そりゃ、ここからの季節、海のレジャーへ行く人の方が多いから、関心がそっちにむくんじゃないのか。山はどこか神聖だしな。おごそかだから、そうちゃらちゃらしてられないんだろ」
A「ちゃらちゃらじゃないだろ。海だって神がいるだろうし、神聖なものだろうぜ」
と、海の神だ山の神だという、多少、こどもっぽい口喧嘩らしき話しをしていると、先輩D氏がやってきて。
D「おまえたちさ、海幸彦、山幸彦の話し、知ってる?」
A・B・C「え?」
古事記・日本書紀で、海幸彦の釣り針を借りた弟の山幸彦が海で魚を釣ろうとしたところ、釣れないばかりか、兄の釣り針を失くしてしまうのである。
それを許してもらえない山幸彦が海に逃げて3年間生活をしたのち、海の神を打ち負かすのである。
これは、後の、浦島伝説の原型にもなったといわれている。
なぜ、そんな話を思い出したのか聞いてみると、
D「いやぁ、家でも国でも同じで、最後には『山の神』が勝つってことさ」
A・B・C「・・・・・・・・」
・・・(そういやぁ、Dさん結婚してたっけ)・・・・