昭和54年のこと。
傘をさして坂道を下りながら友人たちとしゃべっている。
A「おい、そろそろ梅雨入りだってな」
B「ああ、かなわないなぁ。こう蒸し暑くっちゃあなぁ」
C「それはそうと、昼ごはんどこにする?」
B「いつもの喫茶店でいいんじゃないか?」
C「え、だめだよ」
A「なんで?」
C「あの店、テーブルに『インベーダーゲーム』入れただろう?」
A「うん。それがどうした?」
C「雨で客がわんさか来るのと、あのゲーム大人気だから、開店からずーっと、学生で一杯で、全然、客が動かないんだもん。入れないぜ。それに音もうるさいし、話しなんてできないじゃないか」
B「いいじゃないか、おれあのゲーム好きなんだ。まだ昼前だから、空いてるかもしれないぜ行ってみようや」
C「好きだなぁ、お前」
B「だって、最近はやってる『名古屋打ち』をしてみたいんだよ」
A「え、なにそれ?」
B「あのさ、インベーダーが出てきて下がって来るだろ、そのときにぎりぎりまで待ってて・・・」
A「うんうん・・・なるほど・・・」
C「・・・・・・・」
降つてますかと梅雨入りの地下に聞く(茂里正治)