昭和54年頃、大学で仲間たちと話していた。
A「おい、いい天気になったなぁ・・・紅葉狩りにでもいくかぁ?」
B「え、紅葉狩り?いいよぉ・・・面倒くさい」
C「うん、行くとして、このあたりだと、どこがいい?」
A「まぁ・・・京都は遠いし・・・さて・・・箕面(みのお)かなぁ・・・」
B「小学生の遠足かよ・・・いいよ・・・酒も飲めないし・・・狩りでもないのに歩かなきゃなんないじゃないか」
A「ほんと、お前はめんどくさがり屋なんだから」
C「ところでさ、紅葉を愛でるのに、なんで『狩り』って言うんだろ?ブドウ狩りや梨狩りみたいに食べる物を取るわけじゃないのにさ」
A「ああ、それって調べたことがあるんだ。紅葉狩りって、昔の貴族が始めただろ。それで、貴族は歩いて出かけないんだよ。とすると、紅葉をみるのに、野山を散策しなけりゃならないだろ。普段から出かけるのは牛車を使うんで、紅葉をみるのに歩くのはおかしいから。紅葉を見るんじゃなくて、狩りに出かけるってしゃれたんだそうだよ」
C「なるほどな・・・よし、みんなで行こうぜ」
B「おれ、貴族だから歩かない。やだ」
A・C「殿下。着いたら、獲物の『紅葉の天ぷら』で一杯飲ませてやるから。これなら狩りになるだろうが」
B「・・・・・・・・」
大滝に至り著きけり紅葉狩 (波多野爽波)